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技能向上、士気を鼓舞する「全社配電技術オリンピック大会」

多様化し高度化するお客さまのニーズにお応えし、安全、良質で安価な電気をお届けするために、2014年11月6日、第20回全社配電技術オリンピック大会」が開催された。
技術力を磨き、技術継承を目的に、日ごろから培ってきた技術や組織総合力を競い合う。その模様を、企業取材のスペシャリストである夏目幸明氏さんに視察していただいた。

[全社配電技術オリンピック大会] 全社配電技術オリンピック大会は、1986年にスタートし、第10回まで毎年、第11回より隔年開催。多様化・高度化するお客さまのご要望に的確に迅速に対応できるよう、最新技術を駆使して、作業や業務の運営の近代化を図ると共に、技術・技能を習得するため、特に若年層への技能継承を目的としている。支店大会(合計:早期復旧19チーム、お客さま設備申込対応25チーム、建設37チームが出場)を勝ち抜いた名古屋、静岡、三重、岐阜、長野、岡崎の各支店代表6チーム(各チーム11名)が、2014年11月6日の本大会で腕を競った。
ナビゲーター 国際環境経済研究所 理事・主席研究員 竹内 純子 (なつめ・ゆきあき) ジャーナリスト。1972年愛知県生まれ。早稲田大学卒。広告代理店等を経てフリーライターに。企業取材をもとに原稿執筆。小学館『DIME』、講談社『週刊現代』などに連載。専門学校・大学で就活の講師も務める。
東清水変電所の画像

「早期復旧競技」では、電柱で作業にあたる復旧員と指令員の日ごろからの息の合った対応力が求められる。

現場で習得した技能、知識を再確認しさらなる高みを目指す

変電所とお客さまを結ぶ配電設備の建設・運用・保守を担当する配電部門には、4つの使命がある。それは、「公衆保安の確保」「電力品質の維持」「配電設備の確実な建設・維持」「お客さまに信頼される技術サービスの提供」である。「全社配電技術オリンピック大会」(以下、「配電オリンピック」)は、これらの使命を確実に達成するための人材育成を目的に、2年に1度開催されている。
さまざまな企業を取材しているジャーナリストの夏目幸明さんは、「他社でも○○選手権といった競技を通じ、品質向上や売り上げアップだけでなく、意識変革や職場の活性化にもつながった事例を見てきました。人は競い合うことで切磋琢磨して成長し、モチベーションもアップします。勝って褒められれば単純に嬉しいですよね」と語る。
太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの急速な普及、電力システム改革など、経営を取り巻く環境が大きく変化する中、「技術の深化・技能の継承~築こうお客さまの信頼」を大会統一テーマに掲げて、日頃の業務やさまざまなシチュエーションを想定した訓練で習得した技術・技能が試される。

早期復旧競技の画像
早期復旧競技の画像
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早期復旧後に家の中から聞こえる拍手何にも勝る励みに

名古屋支店、静岡支店、三重支店、岐阜支店、長野支店、岡崎支店の代表6チームが出場し、「早期復旧」「お客さま設備申込対応」「建設」という3つの競技種目を競い合う。
「早期復旧競技」は、指令員1名、復旧員6名が1チームとなり、台風による飛来物(トタン)で高圧線が断線したという設定のもと、復旧対応および早期送電にあたった。送電までのスピードだけでなく、的確に公衆保安と作業者の安全を確保できているかどうか、指揮・監督する力も問われる。 
指令員が、現地の監督者に復旧の指示を行い、監督者が復旧員の役割分担を指示し、それぞれが持ち場につく。同時に3チームが競技を行う会場に、監督者の指示の声と、電柱の上で作業にあたりながら、それに応える復旧員の声がこだまする。
「はた目には怒鳴り合っているように聞こえますが、安全を第一に考え、的確な指示を最小限の言葉で伝えていることがよくわかります。6600ボルトという高圧の電気を扱う配電部門など、ひとつ間違えると人命にかかわる仕事に従事する人は、技術はもちろん安全への配慮を徹底的に身につけ、現場へ出ていく必要がありますね」と夏目さん。

藤田祐三配電部長
藤田祐三配電部長

「配電マンにとって、お客さまがお喜びになる姿が何よりの励みになる」と語る藤田祐三配電部長。

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藤田祐三お客さま本部配電部長は、「今回は、近年、大規模な被害をもたらしている自然災害の台風を課題としました。南海トラフ巨大地震も想定されることから、防災・減災につながる取り組みは配電部門の重要な課題の一つです。災害による停電をゼロにするのは現実的には難しいですが、1分1秒でも早くお客さまに電気をお届けできるよう、早期復旧技術力をはじめ技術・技能と心・志を磨いていきたいと思っています」と語る。
夏目さんも「チームの連携がすばらしい。電柱の上で青空を背景に作業する配電マンに、清々しさ、頼もしさを感じます」と感嘆の声をあげた。
藤田部長は、「実際の現場に出た配電担当者が、『復旧作業が終わり、周りの家々に明かりがともった瞬間、家の中から拍手する音が聞こえてきてとても嬉しかった』と話してくれたことがあります。彼らはいつも、そういうお客さまが喜ぶ姿を励みに、雪の中、嵐の中でも、早期復旧を目指し作業に当たっています」と語る。「それがまた、配電マンの自信や誇り、使命感につながっているのですね。私も電気が勝手についたのではなく、つけてくれた人がいることに気付かされました」と夏目さんもエールを送る。

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設備申込対応競技の画像
設備申込対応競技の画像
設備申込対応競技の画像

お客さまと直に接する「設備申込対応競技」では、原因究明に欠かせない技術力、知識のみならず、言葉遣い、マナー、平易にお伝えする説明能力が求められる。

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ベテランから若手へ技能、対応力の継承の度合いが試される

続いて、内線実習館内で「お客さま設備申込対応競技」を見学。ここでも当日、明らかにされた課題に対して、営業受付者と技術サービス員の役割を担う1名ずつが1組となり、屋内配線に関する技術力・知識、接遇能力を競い合う。
まず、営業受付者が、太陽光発電設備を持つオール電化住宅のお客さまから、「漏電があって停電したので何とかしてほしい」と電話を受けるところから始まる。営業受付者は漏電の状況を的確に把握し、その情報を技術サービス員に正しく伝えられるかが審査のポイントとなる。また、一般家庭を模したモデルルームを訪問する技術サービス員の立ち居振る舞い、安全な作業の仕方、臨機応変な対応などが試される。
「多くの見学者や審査員に見守られた中での作業は、大変な緊張を強いられます。選手の目を見ても真剣そのもの。日々の業務において実践していないと、こういう場面で本領を発揮することは難しいと思います」と、夏目さんは語る。

建設競技の画像

「建設競技」では、お客さまからの電気使用、電柱移設申込などに応じ、安全性、経済性を踏まえた最適な施工方法を提案しなければならない。

3つめの「建設競技」は、電柱や電線の設置工事に関わる設計や施工指示の能力を競い合う。設計担当者2名が、新築家屋からの電気使用と電柱移設の申し込みを受け、電柱設置のための用地交渉や現場設計、図面作成、筆記試験などの審査を受ける。法令遵守や、経済性・施工効率だけでなく、多様化・高度化するお客さまのニーズにどう応えるのかが問われる。
松村一也審査委員長(お客さま本部配電部架空配電グループ課長)は、「これら3競技には、このようにすれば百点満点という完璧なやり方がある訳ではありません。営業所、チームによっても、それぞれやり方が異なります。それは、長年にわたって各現場で培ってきたもので、ベテラン社員はこれらノウハウを蓄積しています。だから、技術の正確さや早さを見るだけが審査ではありません。先輩が身につけている技術や対応力をいかに後輩にしっかり伝えているかも審査の大事なポイントです」と語る。

松村一也審査委員長の画像

厳しい審査者の目と温かく見守る先輩の目を持つ松村一也審査委員長(写真右)。

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選手を支え続ける配電部門全体の団結力スキルアップに寄与

すべての競技を終え、いよいよ表彰式。各競技種目の上位3位までが表彰される。それぞれの思いはあるだろうが、どの顔を見ても「やりきった」という表情がうかがえる。
「早期復旧競技」で1位を獲得した三重支店チームは、前回の初優勝に次ぐ連覇を成し遂げた。チームを率いた近藤竜司代表(三重支店配電技術長)は、「選手たちのがんばりはもちろん、職場の人たちのバックアップがあってこそ、この結果につながった」と語りつつ、「決して過信することなく、明日からの現場では、より安全、正確、スピーディーな業務の遂行を心がけていきたい」と気持ちを引き締めた。
同チームの丸山昌秀班長(伊勢営業所)も、「私たちは1000回に1回であっても、けがや事故は出してはいけない。だから、何度も手順を確認するという原点を忘れません。また、さまざまな想定を設け、繰り返し繰り返し訓練を重ねました。作業を的確に進めていくために、指令員は復旧員を慌てさせてはダメ。安全を第一に、しかし迅速な作業を求める、その手順や連携がうまくいった」と喜びを表すと同時に、「選手は毎日の忙しい業務の合間に、本当によく練習し、がんばってくれた」と若手をねぎらった。

松村一也審査委員長の画像

早期復旧競技で優勝した三重支店の丸山昌秀班長は、勝因として「出場していない同僚たちの支援」を挙げた(写真右)。

多くの製造現場を取材してきた夏目さんは、「事故やアクシデントは往々にして『人と人のはざま』、ディスコミュニケーションによって起きている。『言ったつもり』『こうしてくれるだろう』と思って相手に伝わっていないケースや、『これはこうだろう』という思い込みも非常に危険な状況を招いてしまいます。中部電力の配電担当者は、誰もがしっかりと『伝える』『聴く』というコミュニケーションをとっていた。それが、それぞれの競技を見ていて最も感心されられた点でした」と語る。
配電オリンピック20回の歴史の間に、台風や雪害など、さまざまな災害に見舞われてきた。その度に、最前線で速やかに電気を復旧させ、安定供給に力を尽くしてきたのが配電マンたちだ。配電オリンピックは、参加者を含めた配電部門全員の士気、使命、技能向上を伸ばす大きなきっかけとなり続ける。

配電オリンピックの画像

配電オリンピックで習得、再認識した技能や体験は、各支店に持ち帰ったメンバーから同僚へと継承されていく。

【探訪後記】

夏目 幸明さんの画像青空に向けてしっかと立つ電柱に、ヘルメット姿の若者たちが互いの作業を大声で確認し合いながら上っていく。 電力に関する知識がないと電気は「当たり前につく」ものだと思ってしまう。しかし、日々の暮らし、企業活動に支障がないように、質の高い電気を安全に安定的に供給し続けるためには、送電された電気を、各世帯、事業所まで確実に届け切るという使命、不断の努力が求められる。こうした決心があるからこそ、今大会に出場している配電部門の担当者は、雨の日も、嵐の日も、雪の日も、いや、雨だから、嵐だから、雪だからこそ、その度に速やかな復旧作業に立ち向かっていく。 配電オリンピックは、電力会社における配電部門の大切さを改めて教えてくれる催しだった。 電力会社は長年にわたり、発電・送配電それぞれの技術やノウハウを培いながら、双方を連携させてきた。つまり、垂直統合型だからこそ、電気の安定供給は保たれ、自由化に向けた改善、改革も果たされるのではないかと私は考える。配電オリンピックに出場したチームには、どこも見事な技術の継承があった。それらを目の当たりにしながら、発送電分離の是非についても考えさせられた。

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