電気のこれからを考える「場」

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電力に続くガスの小売全面自由化を契機に
総合エネルギー企業グループを目指す

2016年4月に始まった電力の小売全面自由化を受け、新電力を含めた電力事業者間で激しい競争が繰り広げられている。そのような中、中部電力は今後の成長が見込める首都圏市場、ならびに’17年4月の家庭用ガスの小売全面自由化に向けて、どのような攻勢をかけようとしているのか。販売カンパニーの清水成信社長にフリーアナウンサーの長谷川玲子さんが聞いた。

フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役長谷川 玲子
(はせがわ・れいこ)静岡県出身。
静岡県立大学国際関係学部卒業。SBS静岡放送に入社し、アナウンサー、報道記者として9年間勤務。独立後、フリーアナウンサー協同組合舎鐘設立(2015年4月株式会社に改組)。’12年早稲田大学大学院公共経営研究科を修了。テレビ、ラジオに出演するほかにも講演会、シンポジウムなどで幅広く活躍中。
中部電力 販売カンパニー 社長清水 成信
(しみず・しげのぶ)長野県出身。
横浜市立大学商学部卒業後、1980年中部電力入社。2003年販売本部大口営業部エネルギー営業グループ部長、’06年販売本部法人営業部法人営業グループ部長、’08年販売本部法人営業部長、’09年執行役員販売本部法人営業部長を経て、’12年常務執行役員名古屋支店長、’15年取締役専務執行役員に就任。’16年4月より販売カンパニー社長を兼務。

エネルギー事業の変革期を大きなチャンスと捉え、
お客さまのご期待に応えるサービスを提供したい。

販売戦略の3本柱を遂行していくことで厳しい競争を勝ち抜く

長谷川 2016年4月にスタートした電力の小売全面自由化に、中部電力はどう対応されているのでしょうか。

清水 さまざまな小売事業者の参入により、厳しい競争状況が続いています。その中で、この変革期を当社は大きなビジネスチャンスと捉え、3つの販売戦略を実行し、競争を勝ち抜き、成長を加速させることで、お客さまのご期待に応えていきたいと考えています。
いずれも、電気を安価に安定的にお届けすることが前提ですが、戦略の1つ目は、すでに当社の電気をお使いいただいているお客さまに、暮らしやビジネスに役立つ、新たな付加価値サービスを提供していくこと。2つ目は、中部エリアの市場だけではなく、電力需要の大きな首都圏での事業拡大を目指すこと。そして、3つ目に、’17年4月に始まるガスの小売全面自由化を見据えた家庭用などへのガス販売の本格参入。現在はこの3本柱の戦略を推進している段階です。

長谷川 中部エリアはメーカーをはじめとした大口の企業が集積しているほか、名古屋という大都市を抱えていますが、それでも市場の拡大が課題となるのでしょうか。

清水 今後の経済成長の鈍化や人口減少、省エネ・生産システム効率化のさらなる進展などにより、電力販売量の伸び悩みが見込まれる中、販売カンパニーにとっては、事業領域と収益の拡大を図ることが最も重要なミッションとなっています。その実現に向けては、当面、首都圏市場を開拓していくとともに、ガス市場参入によりガス&パワー(電力)を中心とした総合エネルギー企業グループとして成長を加速していくことが重要だと考えています。

環境の変化に対応すべくカンパニー制を導入責任感と達成感が高まる

長谷川 9月末で、全国6260万件のうち、契約を切り替えた件数は、首都圏や関西圏を中心に3.0%に相当する188万4千件でした。一方、中部電力エリア内の切り替え件数は、同エリアの1.9%に当たる14万6千件。首都圏や関西圏に比べて、離脱が少なかったことは評価されていいのでは。

清水 一概に件数で評価はできませんし、当社エリア内の一定数のお客さまが、すでに他社への契約変更をされているという事実は、重く受け止めねばなりません。今後も、数字を注視していくとともに、お客さまのニーズをしっかりと捉え、創意工夫を重ねることで、引き続き当社をお選びいただけるよう努力を重ねていきます。

長谷川 中部電力は’16年の4月より、カンパニー制を導入しました。どのようなメリットがありましたか?

清水 めまぐるしい事業環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できる自律的事業体制を構築するため、当社は、発電・送配電・小売の各事業分野においてカンパニー制を導入しました。まだまだ緒についたばかりですが、少しずつ手応えも感じ始めています。私ども販売カンパニーはたまたま4月より、一時的とはいえ新オフィスに移動し、まさに新しい会社を一からつくる新鮮さと緊張感を持ってカンパニー制のスタートを切りました。策定した事業目標達成のための打ち手が、その都度、結果となって表れてくる毎日に、メンバーそれぞれが、これまでにないプレッシャーや責任感、また、ささやかな達成感を実感し始めていることは確かです。

中部電力 販売カンパニー 社長 清水成信 フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役 長谷川玲子

首都圏市場への本格参入、
ガスの小売全面自由化も見据えた総合エネルギー戦略で、
成長加速に着実な一手。

中部エリア向け新料金メニューにすでに101万件の申し込み
首都圏でも攻勢に転じる

長谷川 お客さまからは、どのような反響や声が届いていますか。

清水 中部エリアの一般家庭のお客さまは約600万世帯、800万口いらっしゃいますが、’16年11月11日時点で当社が用意した新料金メニューに約101万件のお申し込みをいただきました。契約電流40アンペア以上のお客さまを対象とした「おとくプラン」や「とくとくプラン」をはじめ、好評をいただけたものと手応えを感じているところです。
とはいえ、さまざまな小売事業者が参入し、各社が趣向を凝らした料金メニューやサービスを提供する中、メニュー比較が容易でなく、まだまだ迷っておられるお客さまが大勢いらっしゃるのも事実です。その点については、お客さまに当社の料金メニューやサービスのメリットをより一層分かりやすくお伝えする努力が必要であると考えています。
一方、新規参入となる首都圏では、知名度も顧客基盤もない当社は苦戦を強いられたため、首都圏向け料金メニュー「カテエネプラン」を一新し、より商品力の高い「新カテエネプラン」を8月に販売開始。さらに顧客基盤を持つ企業との提携拡大により、11月11日時点で約3万件の申し込みに達し、成果は確実に上がり始めています。首都圏では早期に10万件の契約獲得を目指しています。

長谷川 中部エリアの新たな取り組みやサービスについてお聞かせください。

清水 一例を申せば、カテエネを中心にポイントサービスをさらに充実させ、「暮らし」や「地域」という切り口で幅広くポイントを活用いただける提携を進めているところです。直近では、全国的に広がりのあるJALのマイルやTポイントとの提携を開始するなど、今後も、さらに充実に向けた取り組みを加速してまいります。

長谷川 本誌の読者からは「WEB環境がない人へのサービスも考えて欲しい」という声が寄せられています。

清水 お客さまと双方向でコミュニケーションできる環境をどう構築するか、これこそが、全面自由化にあたっての最大の課題であり、いまだにご満足いただける状況にないことはご意見の通りです。そんな声にお応えするための第一歩として、スマートメーターに切り替わったお客さまに郵送する検針票に月別・日別の利用実績や景品付きのクイズを同封するなど、カテエネで提供しているサービスの一部を盛り込むことを始めました。今後さらに内容を充実すべく取り組んでまいります。

中部電力 販売カンパニー 社長 清水成信

ガス小売の全面自由化を見据え
ガス&パワー事業を拡大5年で20万件目指す

長谷川 いよいよ’17年4月にはガスの小売全面自由化が始まります。家庭用ガスは中部電力が重視する「暮らし」というキーワードになじみやすいエネルギーだと思いますが、課題は何でしょうか。

清水 ガス事業参入にあたって何よりも大切なポイントは、電力供給で培ってきた安定供給のDNAをガスでも生かすことで、万全の保安体制を構築することだと考えます。そして、中部電力のガスに切り替えても、これまでと変わることなく、安全・安心にご利用いただけることを、まずは知っていただくことが重要です。
これまで築き上げてきたお客さまとの信頼関係を礎に、一生懸命お伝えしていきたいと考えています。まずは、愛知、岐阜、三重の3県で東邦ガスの都市ガスを利用されているお客さまをターゲットにガス販売事業をスタートさせる計画です。

販売カンパニー実績

長谷川 どれくらいの契約件数を想定されているのでしょうか。

清水 ’21年度末までに20万件獲得することを目標にしています。
当社は火力発電用に膨大な量の液化天然ガス(LNG)を輸入し、取り扱ってきました。また、すでに工場など大口のお客さま向けにガス販売を行ってきており、その販売量も約100万トンに達するなど、着実に販売を拡大してきています。今後とも調達の安定性と価格優位性をフルに発揮しながら、電気とガスのセットメニューなど、分かりやすく魅力のあるメニューをそろえ、お客さまの期待に応えてまいります。

長谷川 ガス自由化も大きなビジネスチャンスと考えているのですね。

中部電力 販売カンパニー 社長 清水成信

清水 もともと電気とガスは非常に親和性が高く、家庭に欠かせないエネルギーです。’16年10月には、家庭などへのガスの販売・保安業務を専門に担う「ガス営業グループ」を販売カンパニーに新設するなど準備を進めています。ガス販売への参入は、私たちが事業領域を拡大する最大のチャンスです。電気だけではなく、ガス事業を拡大することによって、総合エネルギーサービスのリーディングカンパニーに大きく近づくものと確信しています。

文・構成/松本稔 撮影/加藤有紀

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