電気のこれからを考える「場」

現場の底力

井川エリア特有の曲がりくねった山道を営業車で巡視する。冬場は路面が凍るため、細心の注意で安全な運転に心掛ける。写真後ろに見えるのは井川ダム湖

古き良き"地域との結びつき"と
そこから生まれる信頼関係

中部電力 静岡支店 静岡営業所 井川サービスステーション
山田 京平(やまだ・きょうへい)
静岡支店 静岡営業所 井川サービスステーション。2008年入社後、静岡営業所や藤枝営業所の配電課で技術サービス業務などを経て、'16年8月に同SSに着任。
井川サービスステーション

<井川サービスステーション>

人口345人、206世帯の井川エリアに1978年より配置された地域密着型の営業・保守拠点

安全を独りで守る責任

静岡市の市街地から車で約2時間。大井川最上流部に位置する静岡市葵区井川に、地域密着型の営業・保守拠点として井川サービスステーション(以下、SS)がある。2016年、山田京平は、営業所兼社宅(以下、事務所)の井川SSに妻とともに赴任した。井川エリアの配電設備の見回り、お客さまのお申し出対応業務を山田が独りで担当している。

独りで状況を判断し作業をする社員は、会社全体を見渡しても数少ない。「安全を優先した上で『どうしたら自分だけで作業をやり遂げることができるか』という判断力が一番求められます。責任の重さを痛感しています」と山田は語る。

安全の大切さを徹底的に
たたきこまれた4年間

山田の安全意識は、前職場で4年間指導を受けた上司の存在が大きい。

「とにかく安全と挨拶に厳しい人でした。安全に対して気を抜いたり、少しでも危険につながることをやると、ものすごく怒られました」

徹底的にたたきこまれた高い安全意識が、現在、独りで判断し作業する際の礎となっている。

井川で見つけた夫婦の暮らし方

「元々自分は、比較的、話しかけられやすく、誰とでも打ち解けて話せるタイプだと思います。入社時には『お客さまと近いところで働きたい』と思って、配電部門を志望しました

井川SSには、地域の方々との距離が近過ぎるほどの人間関係がある。配属直後から定期的なバレーボールの練習をはじめ、夏祭りや小学生との防災合宿といった地域行事などに積極的に参加する山田は「近所のお兄ちゃん」のような存在となっている。

社員がたった一人のSSにおいて、その業務は家族のサポートがあってこそ成り立っている。山田が現場出向して事務所を不在にする際には、結婚4年目を迎える妻がお客さまの電話や訪問をアシストする。地域の方にとっては、事務所に常に人がいることによる安心感は大きい。このSSでは、夫婦で支え合うことも、安定供給を守る使命を果たすためには欠かせない。

「妻は近所の方たちから可愛がってもらっています。海のそばで育った妻にとって、山の自然が豊かな環境は新鮮のようです」

夫婦でずっと顔を合わせられる職住接近の生活スタイルは、夫婦関係にも変化をもたらした。

「生活において心のゆとりができましたね。以前は、妻も働いていたので、朝一緒に出掛けて、夜一緒に帰ってくるというサイクルでした。今は出勤する必要がなくなって、妻も家事をする余裕ができ、以前にもまして会話が増えました」

2階が住居スペースとなっている1階の事務所で、山田は静岡営業所と連携しながら、日々お客さまからのお申し出にたった一人で対応する。山田の業務に妻のサポートは欠かせない

いつでも顔が見える距離感から
生まれる信頼関係

仕事と生活が近いということで、ワークライフバランスが取れるだけでなく、地域の方と触れ合う機会が多くなった。

近所の方からは、今まで食べたことのないような食材をお裾分けしていただくこともあるという。「いただいたキュウリは太くて新鮮でおいしくて、スーパーでは絶対売っていないと思います。鹿肉とか熊肉をいただいたこともありました。井川に赴任しなければ経験できなかったですね。以前、キジがご近所のお宅の玄関先にぶら下がっていて、訪問した際、その場で焼いてくださいました。住んでいるだけで驚きと面白さの連続ですね」と山田は顔をほころばせてそう語った。

「井川エリアには、高齢の方も多いし、遠方にある電気工事店さんが出向するには時間がかかるため、ちょっとした電気のお困りごとの相談を受けることもあります。業務でやっているというよりも『知っている井川の住民同士だから』という意識の方が強いですね」

事務所入り口に吊るされた干し柿は、この秋、近所の方とともに仕込んだ。地域の方たちとの触れ合いが温かい

井川エリアの電気を独りで守る責任を人一倍感じているからこそ、地域の方々の日常に入り込み、いつでも顔が見える距離で地域の暮らしを見守っている。井川SSの現場では、地域の方たちと山田の間に、失われつつある古き良き日本の心の結びつきと安心が、ごく自然な形で築かれている。

自動検針や営業所の統廃合などお客さまとの接点が少なくなってきた今、地域とそこに暮らす方々と顔が見える関係を築き、声をお聴きできるSSは大変貴重な「場」といえる。これからも、経営効率化の視点から「変えるべきこと」と、地域との信頼関係という「守るべきもの」のバランスを模索し続けていく。

文・構成/森一市

山間部の山道さえない場所は営業車も使えないため、電柱をたどりながら歩いて回る。冬場は、豪雪地帯ならではの雪と寒さに、一層安全への配慮が必要となる

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