電気のこれからを考える「場」

「環境エネルギー塾」参加学生座談会

「環境エネルギー塾」参加学生座談会 「百聞は一見にしかず」
現場に足を運んで初めて分かること

中部電力では、「なごや環境大学」の講座の一環として、主に大学生を対象に電力、環境・エネルギー問題の現状、課題について学ぶ「環境エネルギー塾」を運営している。参加した学生は各発電所などの電力施設の見学を通じて何を感じ、どう今後に生かしたいと思ったのか。2016年夏季に開催された講座の参加者3名に話を聞いた。

「なごや環境大学」と関わりのある恩師から勧められたのがきっかけです。理科教育を専攻しているため、将来、実際に現地へ足を運び、自分の目で見た経験を授業に生かせるのではないかと思い参加しました。

久野史絵さん

久野 史絵さん

(くのしえ)
愛知教育大学大学院教育学研究科理科教育専攻、修士課程

愛知県出身。中学理科教員志望。小学生で始めたバスケットを、子どもたちに教えたいというのも教員を目指した理由のひとつ。

参加動機は、産学共同研究を通じて知り合った中部電力の方からこの講座を勧められたこと。学部の3年のときに浜岡原子力発電所を見学してから2年経つので、何か新たな発見があるのではと思い参加しました。

藤田真也さん

藤田 真也さん

(ふじたしんや)
名古屋工業大学大学院工学研究科電気・機械工学専攻、修士課程

三重県出身。座右の銘は「日進月歩」。中高と軟式野球部に所属、中学では副キャプテン、高校ではキャプテンを務める。大学では学祭の実行委員として活動。

自分の専攻分野とは異なるものの、原子力問題を取り上げた講義を受けて関心を持ったことがきっかけ。火力発電所が立地する碧南市(愛知県)に住んでいながら、これまで電気に無関心だったことも参加を決めた理由のひとつです。

杉浦佑夏さん

杉浦 佑夏さん

(すぎうらゆか)
中京大学国際英語学部国際英語学科4年

愛知県出身。モットーは「明るく前向きに」。大学在学中、交換留学生として米・アイダホ州に1年間滞在。英会話の実力に磨きをかける。海外のことだけでなく、日本のことをもっと知らねばと思う。

温室効果ガス削減、
エネルギー自給率の低さを考えると、
原子力発電も選択肢のひとつに。

絶えず最悪の事態を想定した
二重三重の安全対策を実感

── いろんな電力施設を見学して、どこが印象に残りましたか。

久野 見学したすべての施設が印象に残っています。現場での説明も丁寧で分かりやすかったですし、自分でもたくさん写真を撮り、今は原子力とか火力、水力と聞くとすぐにイメージできるようになりました。浜岡原子力発電所で受けた安全対策の講義で、「もし、これで防止できなかったら、次にこの対策で。それで防げないときは次なる対策で」といったように、絶えず最悪の状況を前提にしながら、二重三重の安全対策がなされていることに驚きました。浜岡は別格なんですね。

杉浦 遠くから防波壁を見たときは低いなと思ったけれど、現場で見ると22メートルという高さに圧倒されると同時に、これが1.6キロメートルも続いていることを知って安心感を得ました。映像で見ただけなら「ふーん」という感じで終わっていたと思います。 

参加学生座談会

環境対策、輸入依存の資源・・・
将来の安定供給のためには原子力発電は捨てられない

── 東日本大震災の津波による福島第一原子力発電所の事故が起きたとき、皆さんは高校生でしたが、何を思いましたか。

杉浦 そもそも原子力発電の仕組みなど全く知らなかったので、事故の経緯や原因をニュースで説明されてもまるで理解できず、実感が湧かなかったというのが正直なところです。

久野 私はチェルノブイリ事故と単純に結びつけてしまい、当時は「もう原発なんて絶対嫌だ」と感情的に考えてしまいました。

藤田 純粋に怖かった。自分たちの近くの静岡県に原子力発電所があることをそのときに知り、「何かあったらここもヤバイ」と不安を抱いたことを覚えています。でも、今回、浜岡を見学して、想定をはるかに超えた最悪中の最悪の福島での事故を教訓に、あらゆるリスクに対応して安全対策をしているのだと知り、安心しました。

── 最終日は、グループに分かれて「発電方法はどうあるべきか」などについてディスカッションしましたが、どういった意見が出ましたか。

藤田 僕のグループでは、化石燃料がなくなるなら、火力をやめて太陽光や風力などに変えるべきだとか、日本に適した地熱発電を増やせばいいといった意見も出ました。僕は電気に関わる研究をしているため、「太陽光発電など自然の力に依存した再生可能エネルギーはCOを出さないが、電圧が一定せず稼働率も低い」などメリット・デメリットの両面を伝えました。

杉浦 エネルギー自給率が低いうえに、温室効果ガスの排出量を削減しなければならない日本にとって、原子力発電は選択肢として残してはという意見が出ました。安全対策について現場でいろいろ目にしたことが大きく影響したと思います。

久野 今は、2020年に開催される東京オリンピックを一つの機会に、若い世代でもっと未来のエネルギーについて考えられればと思っています。きっと最先端技術が集積するこのオリンピックでは、今以上に電気が大切になるはず。だからこそ、原子力発電への目線も変わるきっかけになるかもしれないというような話をしました。

2016年度「環境エネルギー塾」講座内容

【概要】
2005年、名古屋市が中心となり、産官学、市民が協働でつくる環境活動のネットワーク「なごや環境大学」を開設。「環境エネルギー塾」は、その講座のひとつとして中部電力が同年から運営を開始。次代を担う大学(院)生・短大生・高専生・専門学校生を対象に、電力施設の見学や、座学、意見交換を通じて、環境・エネルギー問題の取り組みについて理解を深める講座。 

【2017年度の申し込み方法】
中部電力ホームページ内[イベント情報]より(4月中予定)(http://www.chuden.co.jp/ 別窓
※’17年8月30日(水)、9月6日(水)、9月13日(水)の全3回のカリキュラムで開催。 

安全対策の取り組み、
安定供給の仕組みについて知る機会が増えれば
議論は深まる。

取り組みの現状を若い世代にもっと伝える努力が必要

── 参加してよかったこと、感じたことは何ですか。

杉浦 電気は生活に絶対に必要なものなのに、私も含めて多くの人がその仕組みについて普段、考える機会がありません。今回、参加したことによって、燃料を輸入に依存する火力発電が日本国内の電源構成の大きな役割を占めているという現状は、とても危険だと思いました。また、いつも安心して電気を使えるのは決して当たり前のことではないことに気づきました。

藤田 現場で働く多くの方々の不断の努力と使命感に支えられているから、電気を当たり前のように使えるんですよね。電気に関する研究を通して得たことを、なかなかうまく伝えられないことも多かったため、もっと研究や勉強を進めて周囲に伝えたいというモチベーションになりました。

久野 私は教員になる準備のひとつとして参加しました。目的や専攻が異なるさまざまな同世代の人たちと一緒に学び意見を交換できる体験は、異なる視点が分かりとても新鮮でした。

杉浦 私もそうでしたが、高校生の妹もエネルギーのことに全く興味をもっていません。「環境エネルギー塾」のような考えるきっかけとなる場を周りの人に勧めたいと思いました。また、新聞を読む際には以前はあまり気にしていなかったエネルギーにかかわるニュースも必ずチェックするようになりました。こういった習慣を続けていき、世の中の問題についてしっかりと自分の意見を持っていたいですね。

久野 やはり「百聞は一見にしかず」。大学院の仲間たちに「こんな施設を見てきたんだよ」と、話しながら自分で撮影した写真を見せるだけでも、みんな興味津々。
進路選択を控えた高校生たちが、気軽に参加できる機会があればいいなと思いました。撮った写真や資料は、自分が教える立場になったときに必ず使うつもりです。

杉浦 原子力施設をはじめ、安全対策にこれだけ力を注いでいるんだからその事実をもっと多くの人々に分かりやすく伝えるべきだと思います。

藤田 現場に行く機会があれば、一番いいと思うけど、テレビのCMでもいいから、安全対策などの取り組みの現状を、疑似体験できるように伝えることができればいいと思います。大学院で、地域の小学生に電気のことを教える理科教室を開いていますが、そういう早いうちから学べる機会が増えれば、世の中の理解もいっそう深まっていくと思います。

文・構成/丸上直基 撮影/加藤有紀

見学

碧南火力発電所(愛知県)の運転制御室を見学。

発表

最終日は、3つのグループに分かれてディスカッションが行われ、その内容を発表。

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