電気のこれからを考える「場」

トップインタビューイメージ

ますます重要な役割を担う
再生可能エネルギーの展望

地球温暖化対策に欠かせないのが、COなど温室効果ガスの排出を極力減らす低炭素社会の実現。
中部電力では、再生可能エネルギーの開発を推進するため、電力会社として初めて専門部署を立ち上げ、積極的な取り組みを始めている。その現状と今後の展望について、鈴木英也再生可能エネルギー事業部長に、フリーアナウンサーの長谷川玲子さんが聞いた。

フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役長谷川 玲子
(はせがわ・れいこ)静岡県出身。
静岡県立大学国際関係学部卒業。SBS静岡放送に入社し、アナウンサー、報道記者として9年間勤務。独立後、フリーアナウンサー協同組合舎鐘設立(2015年4月株式会社に改組)。ʼ12年早稲田大学大学院公共経営研究科を修了。講演会、シンポジウムなどでも幅広く活躍中。
中部電力 執行役員 発電カンパニー 再生可能エネルギー事業部長鈴木 英也
(すずき・ひでや)愛知県出身。
東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻修了。1985年中部電力入社。2008年に発電本部土木建築部水力グループ長、ʼ11年発電本部土木建築部 業務グループ長、ʼ15年に発電本部 土木建築部長を経て、ʼ16年4月より現職。

水力発電を基本軸に、
風力、太陽光、地熱、バイオマスを成長軸に。

長谷川 再生可能エネルギー(以下、再エネ)事業部は、どのような経緯でできたのでしょうか。

鈴木 これまでも水力発電をはじめ再エネの開発に地道に取り組んできましたが、水力発電が、業務単位ごとに分かれていたため、1つの事業としてまとめ、再エネ事業を一体となって運営できる組織を構築するために専門部署を立ち上げました。その結果、さまざまな部門が集まり、同じ目標を共有し議論することによって、大きな原動力となり、良い化学反応を起こしていると感じています。

長谷川 再エネに注力される意義について改めて伺います。

鈴木 それぞれの電源には一長一短がありますので、それを補い合うようにバランスよく組み合わせ、安全性(Safety)を大前提に、安定供給(Energy security)、経済性(Economic efficiency)、環境適合(Environment)の3つを達成する「S + 3E」を目指していきます。
再エネは、発電時に温室効果ガスを出さず、純国産エネルギーですから、エネルギー自給率を高め、エネルギーセキュリティーにつながります。価格面の課題はありますが、コストダウンに努めながら普及を進めていきたいと考えています。

鈴木英也

長谷川 中部電力グループとして、再エネに対してはどのような展望をお持ちですか。

鈴木 私たちには、長い間水力発電に取り組んできた実績があります。その安価で安定的な水力発電を基本軸とし、風力、太陽光、地熱、バイオマスなどの将来有望となる再エネ分野を成長軸に据え、今後も事業拡大を図ってまいります。

長谷川 再エネの開発状況や再エネ導入への取り組みはいかがでしょうか。

鈴木 グループ会社のトーエネックが太陽光発電、シーテックが風力発電など、各社がすでに再エネ事業を行っています。現在はそれぞれの強みを生かしながら、グループの総合力を発揮できるように、再エネ事業部がサポートしています。グループ全体の中部電力エリア内における再エネの比率は、現状で9〜10%ぐらい。一般のお客さまの太陽光発電や風力発電による電気を当社が購入し、お客さまに販売していますが、それらを入れると14%ぐらいですね。2030年までにこの比率を20%強まで増やしていきたいと考えています。

中部電力の太陽光発電からの購入件数の推移

また、国のエネルギーミックスの実現に向けて、再エネの導入拡大をさらに進めていくためには、発電以外の環境整備も不可欠です。例えば、広域的に需給調整を行う仕組みづくりや、電圧変動に対応するための配電系統の構築など、再エネの購入や活用を拡大する取り組みにも力を入れています。

長谷川 ますます期待が高まりますね。

広域調整スキームの活用
次世代配電系統の構築

第二の創業の気持ちと挑戦するDNAを忘れない

長谷川 今後の見通しはいかがでしょうか

鈴木 水力については基本的に自社で開発していきます。風力については長い将来を考えれば、陸地以外の洋上風力は将来の電源の重要な部分を担っていくことになるでしょう。例えば中部エリアの外になりますが、秋田県の洋上風力計画に参画し、可能性調査を進めています。

長谷川 エリア外でも共同で開発を行っていくということですか。

鈴木 そうですね。地熱やバイオマスも、エリア内外を問わず開発地として選択し、当社単独にこだわらず、いろいろなパートナーと一緒に開発を進めながら、第二の創業の気持ちで、ひとつでも着実に発電所として成立させたいと思っています。

長谷川 いろいろなエネルギーを、いろいろなエリアで調達していくという動きになっていくわけですね。
再エネが拡大すれば、他の電源、特に原子力発電が減らせるということですか。

鈴木 それぞれの電源には一長一短があり、多様な電源をバランスよく組み合わせていく必要があります。エネルギー資源の乏しい日本では、化石燃料価格の高騰や地球温暖化という課題に対処しつつ、将来にわたり安定的にエネルギーを確保していくためには、安全の確保と地域の信頼を最優先に、引き続き原子力発電は重要な電源の一つとして活用していくことが不可欠だと考えます。

鈴木英也

地道な業務も地域との信頼関係も
代々受け継がれてきたもの。

自然と向き合う地道な作業と
地域を大切にする「絆」を引き継いでいく

長谷川 中部電力での発電の割合が高い水力発電についてお話を聞かせていただけますか。

鈴木 水力発電所は中部エリア内に196カ所あり、平均年齢77歳、100歳以上の発電所は24カ所あります。どの水力発電も、自然の地形をうまく利用してつくっています。
自然条件は一つひとつ違うので、水力発電はもちろん、発電時の水車も同じものがひとつとしてない「一品一様」なんですね。自然の恵みを活用するということは、常に自然と向き合っているということです。自然と共生していくということを、先輩が手本となり、地域の特性を見据えた、地道な業務を、後輩たちが引き継いでいます。それが安定運転を支えています。

姫川第二ダム管理所

白馬の姫川第二ダム管理所では、今年1月の大雪の後、設備が故障し、ラッセルを履いて復旧に向かった。台風や大雨の時には木くずやゴミなどが川に流れ、それらが取水口にたまってしまうため、発電を止めないように雨の中で取り除かなければいけないこともある。

長谷川 当たり前に電気が使える毎日を支えるのは、生半可なことではないわけですね。

鈴木 水力発電は川の水を利用して発電するので、流域の人たちとの「絆」を非常に大事にしています。私が電力センターの所長を2年務め、その後本店に異動となった時のことです。その際、交流のあった町長さんや議員さん、自治会長さんが、本店にいらっしゃる機会がありました。その時、水源地に住む方が本店の玄関にある5つの石のモニュメントを見て、「大切にしてくれてるんだね」とおっしゃって皆さんすごく喜ばれたんです。なぜなら、その石は、中部電力が今まで恩恵を受けてきた水力発電の川の石だったからです。代々受け継がれてきた地域との信頼関係の大切さを改めて感じた次第です。

鈴木英也

長谷川 そのような姿勢から、地域を大切にする気持ちが伝わったのですね。

鈴木 そうですね。実は今でも時折イベントで伺っており、いつまでも行ってみたくなる大好きな場所ですね。

5つの石のモニュメント
5つの石のモニュメント

<5つの石のモニュメント>中部電力本店1階に展示されている、水力発電と深い関わりのある川に敬意を表し、飛騨川・大井川・揖斐川・天竜川・矢作川の石によるモニュメント。本店建設時に設置された。

長谷川玲子

長谷川 では最後に、これからの意気込みを聞かせてください。

鈴木 長く、古くから取り組んでいる水力発電のように、長期にわたって事業を継続していくためには、地域の人たちとの信頼や絆が、非常に大事だと思っていますし、それはこれからも変わりません。そしてこれまで進取の気概を持った先輩方は、さまざまな困難に挑戦しながら発電所をつくってきました。そういう挑戦するDNAをしっかり引き継ぎ、ますます重要な役割を担う再エネを、次の世代に誇れるものとして残すために、しっかり取り組んでいきたいと思っています。

長谷川 日々挑戦ということですね。

文・構成/赤星 賢一 撮影/水谷 文彦

鈴木英也 長谷川玲子
pagetop

Copyright(c) CHUBU Electric Power Co.,lnc. All Rights Reserved.