電気のこれからを考える「場」

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多様な「人財」の活躍で企業競争力を高め
お客さまの利益、利便性を追求

男女雇用機会均等法施行から30年。今年4月には、働く女性を後押しする「女性活躍推進法」が施行された。
女性のみならず多様な「人財」の活躍が求められる中、中部電力の「ダイバーシティ(多様性)」促進に向けた取り組みについて、人事部門を統括する大野智彦副社長にフリーアナウンサーの長谷川玲子さんが聞いた。

フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役長谷川 玲子
(はせがわ・れいこ)静岡県出身。
静岡県立大学国際関係学部卒業。SBS静岡放送に入社し、アナウンサー、報道記者として9年間勤務。独立後、フリーアナウンサー協同組合舎鐘設立(2015年4月株式会社に改組)。’12年早稲田大学大学院公共経営研究科を修了。テレビ、ラジオに出演するほかにも講演会、シンポジウムなどで幅広く活躍中。
中部電力 代表取締役 副社長執行役員大野 智彦
(おおの・ともひこ)岐阜県出身。
東京大学法学部卒業後、1978年中部電力入社。2005年執行役員東京支社長に就任。’07年常務執行役員名古屋支店長、’09年取締役専務執行役員販売本部長を経て、’11年6月より現職。特例子会社中電ウイング代表取締役社長を兼務。趣味は旅行で、47都道府県すべてを回った。

従業員一人ひとりがその能力をより一層発揮し
企業としての競争力を高める

長谷川 企業にとって多様な人材の活躍を積極的に促す「ダイバーシティ経営」の重要性が高まっていますが、中部電力の考え方についてお聞かせください。

大野 当社では従業員一人ひとりが持っている多様な能力を引き出すことによって、新たな価値の創出につながり、企業としての競争力が高まると考え、ダイバーシティ経営を推進しています。
2007年に「女性活躍推進室」を設置し本格的な取り組みをスタート。ʼ13年には組織を「多様な人財活躍支援室」へと発展的に拡大し、高年齢者や障がい者の活躍支援を含めて取り組んでいます。

長谷川 中部電力では、人材というときに「人財」の字を使われているようですが・・・。

大野 当社では、"人は財産"と考え、それを社内に浸透させるために、あえてこの字を使うようにしています。

働き続けられるだけでなく
責任ある立場で活躍できるよう、さらに環境を整備

長谷川 ʼ16年4月から「女性活躍推進法」が施行されました。ダイバシティ戦略の具体的な取り組みについて、まずは女性の活躍推進についてお聞かせください。

大野 当社では、育児休職や勤務時間の短縮制度の導入など、仕事と育児を両立して働ける環境整備にいち早く取り組んできました。したがって、女性の定着率がとても高いです。ただ、女性が活躍するには、子育てしながら働き続けられるだけでなく、仕事を通じて成長できるような支援も重要です。制度面では、今年度から、より柔軟な働き方を可能とするフレックスタイム勤務制の適用範囲を広げましたが、このほかにも、たとえば、女性の営業所長と若手女性との意見交換会といった女性を対象にした年代・階層別研修、管理職を対象にしたマネジメント教育などを通じて、女性のキャリア形成に向けた支援を行っています。

長谷川 ʼ20年度には女性役付職(管理職)の数をʼ14年度の2倍以上とする目標を掲げておられますが、これに関するお考えをお聞かせください。

大野 女性役付職に関する数値目標は、女性の育成を効果的に進めるために設定したものです。当然、数字ありきで登用を進めるべきではありません。女性を優先的に抜てきするようなことがあれば、逆に公平性を欠くことになります。電力会社はそもそも男性比率が高い業界ですので、一朝一夕には進まず時間はかかりますが、機会をつくり能力を伸ばすことを基本に、目標達成に向けて、着実に取り組んでいきたいと思います。

長谷川 女性が活躍するには男性の家事・育児参画が大事だと思いますが、一般には、あまり進んでいないようです。男性で育児や家事に携わる割合は増えていますか。

大野 育児休職を実際に取るなど、世にいうイクメン(育児をする男性)は増えてきましたが、まだまだこれからです。会社全体の労働生産性を一層高め、柔軟な働き方が定着していけば、介護も含め、もっと男性が参画しやすくなると思います。

中部電力 代表取締役 副社長執行役員 大野智彦 フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役 長谷川玲子

お客さまサービスの向上
技術品質を維持するためにも高年齢者に期待

長谷川 高年齢者の活躍支援については、どのような取り組みをされていますか。

大野 当社の定年は60歳ですが、ʼ02年から原則、「ゆとり勤務」の再雇用制度を導入し、65歳まで働けるようになりました。さらに、ʼ16年7月からは定年後も原則、「フルタイム勤務」で65歳まで働けるよう見直しました。高年齢者の活躍支援に際しては、働く側が65歳までしっかり働く心構えを持つことと、仕事を依頼する側が、ある程度長いスパンで業務を設定することの両方が大切だと考えています。

長谷川 技術職が多いと伺っていますが、ベテランが培った技術、ノウハウを若手に継承していく機会が増えていくことにもつながりますね。

大野 そのとおりです。このことは、お客さまに対するサービスの向上や、高い品質を維持するうえでも重要です。安全かつ確実に電気をお届けするためにも高年齢者の持つ経験・技術・技能などに大いに期待しています。

長谷川 中部電力では52歳になると今後の働き方を考える場として「セルフ・セットアップ研修」があるそうですね。なぜその年齢なのですか。

大野  60歳以降もいきいきと働くためには、50歳代半ば以降の働き方、さらにはその前段階での準備が重要だとの考えから、52歳のときに「自分の将来を考える場」としての研修を全社員に実施しています。

お客さまのために
多様な「人財」が結集して、新たな価値を創造していく

さまざまな分野でチャレンジド(障がい者)がそれぞれの能力を発揮

長谷川 中部電力では、障がい者の方を「チャレンジド」と呼称していると聞きましたが、チャレンジドの活躍支援について教えてください。

大野 「チャレンジド」とは「前向きに挑戦する人」という意味を持ちます。当社では、障がい者雇用を多様な「人財」のマネジメントと位置づけ、障がい者の潜在能力を最大限活かす職場づくりに努めています。
現在、特例子会社である中電ウイングを含め、約340名のチャレンジドがさまざまな分野でそれぞれの能力を発揮し活躍しています。

長谷川 中電ウイングの設立経緯、事業内容について教えてください。

大野 社会的に就労が十分に進んでいなかった重度身体障がい者と知的障がい者の雇用促進を目的に、「共生」と「人間尊重」を経営理念に掲げ、ʼ01年に設立しました。この情報誌「場」をはじめ、当社が発行する多くの媒体の印刷や商事、園芸事業などを実施しています。当初38名でスタートした従業員は、約100名(チャレンジドは約70名)となりました。ここで働く人たちが羽ばたける会社にしたいという思いで経営にあたっています。

長谷川 大野副社長はその中電ウイングの社長も兼務されています。社内の雰囲気はいかがですか。

大野 皆さん、明るく元気に働いています。いつも大きな声で挨拶をしてくれるので、とても気持ちがよく、私も負けずに大きな声で挨拶をするようになりました。

長谷川 技能競技大会で好成績を収めたと聞きました。

大野 障がい者の技能競技大会(アビリンピック)で2名が全国優勝したのですが、日頃からの鍛錬の成果による快挙であり、当社の誇りです。さらに日本代表として「国際アビリンピック」に出場し、そのうち1名が見事に銀メダルを獲得しました。今後とも、チャレンジドの活躍の場を広げていきます。

中部電力 代表取締役 副社長執行役員 大野智彦 フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役 長谷川玲子

多角的な視点で一歩先を行く
真のお客さまサービスを提供

長谷川 多様な「人財」の活躍を後押しすることで、社会的にも評価が高まると思います。

大野 おかげさまで、さまざまな功績が認められ、ʼ14年度に経済産業省から電力会社で初めて「ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれました。さらにʼ15年度には、政府が成長戦略の中核と位置付ける女性活躍推進の取り組みの一つとして経済産業省と東京証券取引所が共同で実施している「なでしこ銘柄」にも選定されました。

長谷川 今後、ダイバーシティ経営の推進によって会社をどのようにしていきたいとお考えですか。

大野 お客さま自身の暮らし、電気 の使い方が多様化している今、われわれ電力会社も多角的な視点を育み活かさなければ、新たな価値を創出し、真のお客さまサービスを提供していくことはできないと考えています。また、電力に引き続き、ʼ17年にはガスの小売全面自由化も始まります。お客さまから選択いただくために、ニーズをキャッチし、多様なアイデアを出し合い、サービスに反映していきます。すべての「人財」の能力を活かして、中部電力グループ全体の活力、ダイナミズムを喚起して「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を実現し、勝ち残っていきたいと考えています。今後も、これまで以上に「ダイバーシティ経営」を推し進め、企業競争力を高めることで、お客さまの利益、利便性の向上、ひいては地域社会の発展にもさらに貢献していきます。

文・構成/松本稔 撮影/加藤有紀

中部電力 代表取締役 副社長執行役員 大野智彦 フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役 長谷川玲子
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