電気のこれからを考える「場」

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「電気を止めない」強い決意で
災害対策、早期復旧に取り組む

配電部門は、変電所とお客さまを結ぶ配電設備の建設・運用・保守を担当し、安定的にお客さまに電気をお届けする重要な役割を担っている。自由化により経営環境が大きく変わろうとしている中、配電部門の使命と取り組みについて、電力ネットワークカンパニーの小道浩也配電部長にフリーアナウンサーの長谷川玲子さんが聞いた。

フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役長谷川 玲子
(はせがわ・れいこ)静岡県出身。
静岡県立大学国際関係学部卒業。SBS静岡放送に入社し、アナウンサー、報道記者として9年間勤務。独立後、フリーアナウンサー協同組合舎鐘設立(2015年4月株式会社に改組)。'12年早稲田大学大学院公共経営研究科を修了。テレビ、ラジオに出演するほかにも講演会、シンポジウムなどで幅広く活躍中。
中部電力 執行役員 電力ネットワークカンパニー 配電部長小道 浩也
(こみち・ひろや)三重県出身。
1984年三重大学工学部電気工学科卒業後、中部電力入社。主に配電部門を歩み続け、2005年販売本部配電部システムグループ課長、'12年エネルギー応用研究所所長、'15年お客さま本部配電部長を経て、'16年4月より現職。趣味は、家族で楽しむテニス。

語り継がれる「配電魂」
それは、お客さまのことを思う一心で、
いざというときに現地に馳せ参じる覚悟。

「お客さまを最優先に」"配電魂"で
お客さまとの信頼関係を築く

長谷川 入社以来、主に歩んでこられた配電部門の役割についてお聞かせください。

小道 配電は、配電設備を通じてご家庭に電気を直接お届けする、お客さまに一番近い技術部門です。高い品質の電気を安価に安定的にお届けするために欠かせない配電設備の設置や維持管理、技術的なサービス業務を担当しています。
例えば、予期せぬ災害などで停電が生じると工場の操業休止や、ご家庭の暮らしに多大な影響を及ぼします。従来から配電部門では、「電気を止めない、もし台風や地震で電気が止まっても一刻も早く復旧にあたる」というスピリットが業務を通じて伝統的に培われてきました。
現場の最前線において、お客さまや関係者の皆さまの協力を得ながら行う業務ですので、信頼関係の構築を一番大切にしています。

長谷川 配電部門には"配電魂"という言葉があるそうですが。

小道 それは、言い換えれば「お客さまの利便性、利益を最優先」に日々業務に取り組む姿勢であり、緊急時には現地にすぐ馳せ参じる覚悟です。これは頭の中だけで考えることではなく、実体験を通じて身につくものです。例えば地震速報が出たら、指示される前に緊急時に備えたり、台風が接近したら出社準備を始める。災害復旧の現場ではお客さまのお困りごとに対応できることはないかと考えて自発的に動く。こうした経験を通じて培われていく精神が"配電魂"です。私は先輩から「お客さまのことを忘れるな」という言葉で教わりました。

長谷川 今の話につながると思うのですが、配電部門には4つの使命があると伺いました。

小道 それは、「公衆保安の確保」「電力品質の維持」「配電設備の確実な建設・維持」「お客さまに信頼される技術サービスの提供」の4つです。配電設備は生活空間に隣接しているため、お客さまの安全確保が常に優先されますが、これを"公衆保安"といいます。そのうえで、高い品質の電気を止めることなく、安定的にお届けすることによって、お客さまとの信頼関係が生まれます。配電に携わる者全員がこの使命を確認し合い、業務に取り組んでいます。

中部電力 執行役員 電力ネットワークカンパニー 配電部長 小道 浩也 フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役 長谷川玲子

災害復旧訓練を積み重ね
熊本地震の被災地へも迅速に復旧を応援

長谷川 ご自身、現場でどのような復旧にあたってこられたのですか。

小道 入社当時は、個々人の使命感、気力に依存した人力頼りで復旧作業が進められていました。その後、業務の効率、継続性を重んじた人員配置やローテーションを導入したり、停電状況や復旧状況をお伝えする情報通信システムも構築し、組織力をフルに活用して、迅速、的確に復旧するための体制づくりが整備されてきました。しかし、まだ完璧とはいえません。お客さまの声をもとに、日々、反省と改善に取り組んでいます。

長谷川 近年、ゲリラ豪雨や異常気象など自然災害が頻発していますが、どのように対応されているのでしょうか。

小道 被災状況は、それぞれ異なるので、復旧作業もケースバイケースです。例えば、倒木が電線に寄りかかっていれば、まずは伐採、除去するところから着手しなければなりません。
通常、災害で停電すれば早期復旧のためにまずは病院や行政、避難所など緊急を要する所に電気を通して住民の皆さまの支援、安全確保を第一に図ります。あわせて、復旧方針を立てて必要な人員と資機材を投入します。
自社だけでなく、行政機関と連携して復旧にあたるケースも多くあります。例えば、大雪で孤立した地域の停電対応に際しては、まず通行止めになっている区間を除雪して開通してもらうことが最優先となります。その場合は、二次災害に巻き込まれないよう状況を確認しながら、自治体や自衛隊などと連携して動きます。
今年4月に発生した熊本地震の応援復旧に際して、社員を派遣しましたが、前震、本震、余震が断続的に発生し、その状況下での復旧活動は危険と隣り合わせでした。現場では絶えず、声を掛け合って安全確認を図りながら電気を送り続けました。

長谷川 熊本地震の応援派遣では、中部電力からどれくらいの人が行かれたのですか。

小道 九州電力の要請に基づき、延べ511人と37台の高圧発電機車を送りました。ピーク時には230人が現地で活動しました。電力会社間では災害時の協定がありますが、困ったときに助け合うのは当然です。自由化により、各社競い合う時代になりましたが、停電によるお客さまのお困りごとを解消する"配電魂"は、電力会社間の垣根を越えて、強くつながっていることを痛感しました。

長谷川 同じマインドを皆さんがお持ちなのは素晴らしいですね。自然災害に備えた日ごろの訓練はどのようにされているのですか。

小道 災害対策として毎年1回「非常災害対策実動訓練」を行い、本番に備えています。今年は6月に岐阜で実施しました。全社から担当者が参加し、工事会社やグループ会社、関連会社まで集結し、テントを張って野営しながら行いました。これを毎年繰り返し実施することで災害対応の総合力が向上します。実際に熊本地震への対応でも、迅速に出動態勢が整いましたし、円滑に連絡調整ができたのも、訓練の成果であると実感できました。

中部電力 執行役員 電力ネットワークカンパニー 配電部長 小道 浩也 フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役 長谷川玲子

創立以来、65年間にわたり「電気を止めない」強い決意で
培ってきたお客さまとの信頼関係は、どこにも負けない。

安全性とコストを見極めながら
膨大な設備の保守・点検、機器の技術開発に取り組む

長谷川 膨大な数に上る配電設備の保守点検は大変だと思いますが、どのような点に気をつけていますか。

小道 配電部門が管理している配電線は地球3周分、それを支える電柱が約280万本です。全エリア内の設備異常の有無を的確に捉えるために巡視に力を入れると同時に、トラブルをカバーするシステムなどに投資しています。高度成長期の電力需要に合わせて大量に建設された設備を、お客さまにご負担をかけることなく、取り換えていくのはかなりの困難を伴います。それだけに、撤去機器の劣化調査などを踏まえて、機器ごとの更新計画を立てて取り組んでいます。また、新たな設備、機器については、メーカーとの共同研究、技術開発を通じて、コストダウンにも努めています。

長谷川 エリア内の停電の発生状況はどうなのでしょうか。

小道 設備対策を進めた結果、現在では停電はほとんど記憶に残らない回数になっています。雷や雪の多い地域と都市部では状況が違いますが、平均的な統計では10数年に1回程度の確率となっています。

中部電力 執行役員 電力ネットワークカンパニー 配電部長 小道 浩也 フリーアナウンサー/舎鐘(しゃべる)代表取締役 長谷川玲子

電力自由化のメリットをお客さまが享受できるよう
公平な競争環境を支える

長谷川 今年4月から電力の小売全面自由化が始まり、4年後には送配電部門の分社化も予定されています。お客さまに一番近い配電部門を統括する立場としてどのように対応されるのでしょうか。

小道 お客さまにとって電力会社の選択肢が増えたことはメリットですし、電力業界にとってもお客さまサービスを改めて考え直すいい機会だと捉えています。販売は他社との競争になりますが、電気を安定的にお届けする責務を担う配電部門は、自由化のメリットをお客さまに享受していただけるよう、中立、公平な競争環境をしっかり下支えすることが何より重要だと認識しています。

長谷川 競争が激化する中で、他社に負けない部分はどこでしょうか。

小道 創立以来65年間にわたり、「電気を止めない決意」で地域のお客さまに向き合って築いてきた信頼関係はどこにも負けないと自負しています。良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという使命を守りつつ、お客さまの利益を最優先に共存共栄を目指していくことが配電部門の役割だと考えています。

文・構成/松本稔 撮影/加藤有紀

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